シアヌークビル港での国際貨物の取り扱い総量は、1997年で、79万4千トンを超えている。この量はまだ、1969年の95万4千トンの最高記録には及ばない(参照:図3)。それでも、やはりシアヌークビル港がカンボディアの最大の港である。
内陸コンテナ基地(ドライ・ポート)
コンテナの使用は急速に増加している。もちろん、シアヌークビルがコンテナ輸送の支配的地位を保持している。カンボディア王国政府は、民間デベロッパーに内陸コンテナ基地(ドライ・ポート)の建設を許可した。これはシアヌークビル港当局との合弁事業である。このドライ・ポートはポチェントン国際空港(プノンペンの空港)の近くに位置し、国道4号と鉄道がそこで交差している。コンテナ置き場は6ヘクタールの敷地面積をもち、1997年後期に操業を開始した。操業初期の段階では、コンテナはトレーラで基地に運び込まれた。このドライ・ポートは、そこに税関も完備することで、シアヌークビルを経由してのコンテナ輸送のコストを軽減し、船会社と荷送り人に恩恵を与えている。
民間航空輸送
1960年代、航空輸送部門には大きな額の投資がなされたが、航空輸送システムは、1970年代および1980年代に、甚大な被害を蒙った。
カンボディアの民間航空輸送は、ほぼ完全にプノンペン(ポチェントン空港)とシエムレアップの2つの国際空港に集中している。それぞれ、首都と歴史的な遺跡であるアンコール・ワット寺院のために機能を果たしている。現在、ポチェントン空港から国際線の直行運航が行われているのは、A-300クラスのジェット機による、バンコク、ホーチミン、香港、シンガポール、クアラルンプール(マレーシア)、ビエンチャンおよび広東(中国)向けである。シエムレアップから利用できる国際線は、バンコク向けだけである。しかし、この便に関する協定は今年キャンセルされる予定である。国内便の輸送ネットワークは、プノンペンをハブ港として、50人乗りのターボプロップ・エンジン飛行機と28人乗りのヘリコプターによって運営されている。
4) カンボディアの越境輸送の特徴
輸送パターンは、人と商業の流れを反映している。越境輸送は対外貿易動向により、大きく影響を受ける。残念ながら、カンボディアの対外貿易動向は精確には捉えられていないし、入手できるデータもおそらく近隣諸国との貿易量に関しては、過少に示すものでしかないであろう。というのも、国境沿いでは密輸が常態化しているといわれており、政府は物品の流れを直接、管理していないからである。カンボディアには沿岸の港、