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4 基本計画

 

4.1 ドック計画

 

船の解体の方法は係留の仕方によって次のように分類される(図4.1.1、及び船舶解撤マニュアル及び船舶解撤モデル工場参照)。

1、 水深の浅い岸壁又は突堤で沖係留

2、 岸壁係留(水深が深い場合)

3、 海岸又は河岸に設置の広幅突堤に横付け係留

4、 乾船渠又は係船掘利用

5、 曳揚船台利用(スリップウェイ方式)

6、 海浜の解撤船体利用又は矢板打込の突堤

現在、解体の70%がインド、バンクラデッシュで行われていて、そのほとんどでスリップウェイ方式が採用されている。この方法は設備投資がほとんど必要ないことから潮位差の大きい砂浜では極めて容易で経済的な方法である。労務費の安いところでまたいつでも労務者を調達できるところでは解体船の価格の変動にも柔軟に対応が可能である。このような理由からこの方法はこれまで採用されてきたが、反面この方法では海岸を油だらけにして汚すという環境上の問題から批判が非常に強まっている。環境を守るためというのが資源の有効活用ということとともに船舶を解体することの目的なので解体のために海岸を汚すのでは本末転倒になる。このような環境面からの批判に配慮してインドで掘り込みドックによる解体プロジェクトの建設が日本のODAで進行中である。

当プロジェクトも環境対策には万全を期するためゲート付きドライドックを採用した。このため、かなりの設備投資が必要なことから費用に見合う便益をあげるための効率化を考慮して平面計画を作成した。再生鉄筋制作のためにはVLCCの解体が効率がいいので30万トンのVLCCの解体が可能なドッグの大きさに決定した。深さについてはどのような種類の船の解体も可能なだけの十分な深さにした。この結果、ドックは幅60m、長さ350m、深さ10mとした。

建設予定地は、スエズ県アダビヤ湾であり、施設としてはドックの他に油処理装置、伸鉄工場などがある。年間6隻のVLCCを解体する計画とする。プロジェクトの概要を表4.1、計画された平面図を図4.1.2、断面図を図4.1.3さらに比較案を図4.1.4に示す。

 

4.2 解体手順

解体は船内大撤し解撤作業とヤード内中小撤作業で行われる。その手順は

1) 解体する船を係留する

2) 準備作業として各種解撤材及び付属品を取り除く

3) 船のバランスに注意しつつ階段状に切断を進める

 

 

 

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