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(1) BRS

貿易取引は複雑にして多様である。貿易に必要な情報頃目は200以上に及び、そのうち30項目については30回以上も反復記入されている。その費用も膨大で、世界の貿易額3兆ドル(OECDの調査による)として、その管理コストを7%(国連による推計値)とすると2,100億ドルを要している。EDI化によりその3割が節減可能として700億ドル、その40%を目標として、ボレロの市場規模を280億ドル程度、と試算している。

貿易取引にEDIを導入する試みはなされてきたが、丁度部品の不足しているジグソーパズルのように全体がつながることはなかった。

貿易取引の決済方法として、代金前払い、同後払い、為替手形決済及び信用状付き荷為替手形決済がある。決済手段としての信用状(L/C)は、遠隔地における売り手と買い手の信用を保全する古典的なものであるが、今日でも発展途上国等との取引では頻繁に利用されている。信用状に関する統一規則(時に応じて改訂される。現在はUCP500、注2)が、信用状に関する取扱基準を世界的に統一している。93年制定の最新のUCP500では、「信用状に他に異なる定めの無い限り、現行は自動機器またはコンピュータ機器による(automated or computerized system)書類をオリジナル書類と認め、書類の署名は電子的認証方法(electronic method of authentication)で可能」と定めている。

また、商業送り状(インボイス)に加え、船荷証券(B/L)、保険証券(Insurance Policy)、検査証明書、原産地証明書等多数の書類が必要とされ、書類手続も厳密さを要求される。各国の法律・制度・商慣習の違いが、複雑さにいっそうの拍車をかけている。リスクの小さい当事者間の貿易取引では、簡易な取引が可能であり、低コストで済み、厳密さをそれほど要求されないので、船荷証券に替えて海上運送状を使用して自動化も容易である。他方、高リスクの取引においては信用状と船荷証券とが前提となり、自動化が困難である。

現在ペーパーによる取引関係図は図1のようになる。

(注-2) Uniform Customs and Practice Documentary Creditsの略。

L/C(Letter of Credit信用状)に関する当事者の権利、義務、解釈等を国際的な基準として統一した規則で、1933年にICC(国際商業会議所)によって制定され、その後貿易環境の変化に応じて1962、1974、1983年と3回の改

 

 

 

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