(参考) 現行プロジェクトの現状
1. BOLEROプロジェクト
貿易取引は、取引相手先が海外である、というばかりでなく、取引の関係者が多いこと、その手続が複雑であり、同じことを何度も違う書類に記入する必要があり、EDIによるメリットが発揮されうる条件が整っている。
しかし、関係者が多いということは異業種間の調整が必要であることを意味し、EDI化が困難であることになる。
一昨年、ボレロプロジェクトチームが何度か我が国を訪れ、貿易と金融をひとまとめにしたEDIネットワークの構築計画を説明し、市場調査をおこなった。その結果、各国の反応も良いことから、企業設立を予告発表した。(98年1月)
97年9月、ボレロプロジェクトチーム(注-1)は、業務要件仕様書(Business Requirement Specifications, 以下BRSと略す。)第一版を発行した。BRSは、現行の貿易関係手続のありようについて述べ、彼らが提唱するサービスやシステムが、現在の貿易手続きの問題点を解決する、としている。ここでは、まずBRSを概観してみよう。
(注-1) ボレロプロジェクトチーム:世界の銀行間の決済情報等を交換するネットワークを運営するS.W.I.F.T.(Society for Worldwide Inter-bank Financial Telecommunicationの略。ベルギーに本部を置き、銀行を出資者とする共同組合組織で、利用者数5,600、151ケ国が参加している。)と国際複合一環輸送業者等のリスクをカバーする相互組合であるT.T.CLUB(Through Transport Mutual Insurance Association Ltd.の略。船会社、複合一貫輸送業者等の賠償責任保険相互組合であり、海上輸送船舶専門のP&I Clubと似ている)が共同して設置したチーム。
なお、名称は94年から95年にかけてEC(ヨーロッパ共同体)で行われた実証実験に因む。