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2.1.2 銀行

98年4月の外国為替法改正により、銀行を経由しない取引が増加しているが、本支店間取引のようなリスク管理を不要とする場合を除くとまだまだ銀行経由の取引は多く、取引の迅速化を推進する上で電子化が不可欠である。

銀行は、信用状の発行により買い主の信用を保証する機能を担っているが、電子書類が担保たり得るかが問題となる。「信用状統一規則」はコンピューターによる署名を公認することにより電子商取引化への一歩を踏み出した。法制度・条約が安定するまでの間は、電子商取引グループを結成し、仲間内のルールを制定することが必要と思われる。なお、我が国では「取引約定書」により、発行銀行により買い取りが拒絶された場合には、買い取りそのものが遡及して存在しなかったこととされるので、売り手の信用度を管理していれば銀行の危険は小さいといえる。

銀行は、紙の書類売買には一定の金融を行う場合があるが、電子商取引の場合に紙の書類を担保とする場合と同等の安全性があるか、が問題となる。

いずれにしても、倒産その他異常事態が発生する場合は、関係者が「仲間内」とは限定できないので、法制度の制定が望まれる。

2.1.3 保険会社

荷主との関係では、船会社との関係と類似している。ただし、保険証券等は有価証券ではないので船荷証券ほどの厳密な権利移転業務を必要としない。また、貨物と貨物の上の権利者が同定できれば保険金を支払うことは可能である。

保険証券等の裏面約款、特別文言の登録についても、運送書類と同様と考えてよいだろう。むしろ、特約を除けば文言は共通性が高く、中央登録方式に適しているといえる。

問題はあまり無いと考えられるが、保険の申込手続きが紙と印鑑を必要としている現在の法律は改正すべきである。

 

3) 国が定めるべきルール

3.1 電子取引基本法の制定

法律が無ければ電子商取引ができない、ということはなく、「仲間内」を形成することで一定の取引は可能であるが、それは基本法制定の必要性を減じるものではない。

 

 

 

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