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であるが、公信力があり、本人といえども修正できない状態であることが重要であり、本人(運送人)が自社のホームページ上に掲載すれば足りる、ということでは不十分であろう。

電子商取引の効果を期待するためには、取引の双方がシステム化を済ませている必要がある。運送書類のみを電子化しても、その他の書類が紙のままであり、書類の送達に日数がかかっているのでは効果は期待できない。運送人にとっては、運送書類に記載すべきほとんどの情報が電子的に提供されること、運賃入金の確認が自動的に行えること、等の副次的効果が無いと、運送書類の電子化それ自体にはメリットを見出しにくいであろう。なぜなら、航海日数(飛行時間)の短縮によるB/Lクライシスや外国税関、港湾局等の指示等もあり、運送書類(マニフェストを含む)の電子化をすでに終えているので、電子情報を送信することは容易であるが、そうしたからといって、自らの業務を効率化できるわけではないからである。

船荷証券の有価証券性を考慮すると、上記の第三者サービス機関が必要と思われる。船会社をTTPとするCMIルールとそれを土台とした94-95年のBOLERO実験の結果からも明らかである。船荷証券は裏書きにより転々流通するが、電子商取引においては電子署名が裏書きの機能を代替すると思われる。電子署名を相対で確認し合うことは不可能であろう。

SWBは有価証券性が無いので電子化が容易であろう、と期待される。BOLEROの調査によれば、欧米先進国間の取引の90%前後がSWBによる、と言われており(97年度金融情報システムセンター報告書)、我が国でも導入可能と思われるが、残念ながら未だあまり普及していない。荷送り人から受け荷主に直接権利が移転すればすむ取引を除くと、すなわち第三者に権利移転がある場合には第三者サービス機関による認証が必要となる。

AWBはワルソー条約により紙の書類であることが義務づけられていたが、モントリオール第4議定書(MP4、1975年に調印されたが、98年に米国を含む30ケ国が批准し発効した)により「運送記録を保持するその他いかなる手段」によることが認められ、電子的AWBの有効性が確認された。我が国は未だ批准していないが、早期に批准する必要があろう。

 

 

 

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