証明を通じて安全な取引を行うことができるばかりでなく、後述する官公庁との関係においても、たとえば公証記録が中立的な第三者に存在することによって、電子帳簿法の言う「監査証跡」の要請を満たすことになる点に注意を向けたい。
2.2 その他の貿易関連サービス提供者
貿易取引の特徴は、取引の関係者が多岐に上ることである。国内取引と比較すると手続きははるかに複雑であり、多数の協力を得て取引が遂行されていることがわかる。
輸出を例に取ると、官公庁との関係ではまず当該商品が輸出規制の対象であれば、輸出許可/認可を取得せねばならない。親子関係にある海外取引先以外のときは、代金回収のため銀行を経由して信用状を入手する。通関業者に通関を依頼し、船会社に船腹を予約し、メーカーに貨物の出荷を依頼する。客先や相手国等の要望で商品の検査を船積み前に行う必要があれば手配し、それが危険品であればしかるべく安全を確認するとともに必要な届け出を行う。海上保険が必要であれば保険会社に付保する。相手国と商品によっては原産地証明書を入手せねばならない。
したがって、貿易取引が完全に電子化された姿を描くとすれば、これらすべての関係者が電子的に接続されるばかりでなく、当該関係国機関を含むすべてが電子手続きによる処理を正当として受け入れることが前提となる。たとえば、原産地証明書を発行する国のみならず、相手国もこれを了解するのでなければ電子化はできないことになる。
当面、限られた関係者でスタートすることが現実となろうが、現在の我が国の「貿易金融EDI検討プロジェクト」では、荷主以外の関係者として、まず船会社、銀行、保険会社が参加することが望ましいと判断し、この前提に基づいて検討を重ねているところである。
2.1.1 船会社
船会社で代表させているが、広い意味の運輪事業者を指す。上記プロジェクトでは「運輪」という名称で定義し、フォワーダー/NVOCC、航空会社、航空貨物代理店等のほか、国内のみの作業を行う通関業者、港湾運送業者を含んでいる。従い、