1.2 契約の実行と決済に関するルール
いかなる状態となれば契約が実行された事になるか、考察する。
一つは、貿易条件に関するインコタームズであり、今一つは信用状に関する統一規則を検討する。
ICCによるIncotermsは最近ではほぼ10年毎に貿易、物流状況の変化に対応して更改されている。最新の更改versionであるINCOTERMS90は電子商取引を反映して、EX-WORKS以外の条件の場合、売り主の義務である「書類の提供義務」について、電子的データの提供を行う事で替える事が出来る旨定めている。船荷証券、保険証券等個別の書類を電子化する際の問題点に付いては各業界からの考察に委ねる事とし、ここでは触れない。
信用状に関する統一規則では、電子商取引において紙の書類に替えて電子的書類の提供を行う事が出来る旨定め、貿易の電子化への道を開いている。
2) 取引補助者とのルール
2.1 電子商取引サービス提供者
国連勧告26号では、TTP(Trusted Third Party)と呼ばれる。ICCルール(ドラフト)では、この役割が細分化され、単純に認証する場合、タイムスタンプを押す場合、更に決済と書類データ授受の同時履行を担保する機能を持つ場合、等について述べている。
取り引きの当事者が親子会社である等、信頼すべき関係にある場合にはTTPが介在しなくとも支障が無いが、一般的には必要とされ、今後その機能は拡大して行くものと思われる。
国連勧告26号の規定によれば、原則として通信事業者は発信者の代理人とみなされるが、取り引き当事者間の一方が、共通して起用すべき通信事業者を指定した場合、その事業者の過失・懈怠は指定した側の責任であり、それぞれに起用する業者がある場合にはそれぞれが責任を負う事になっているが、順当と言えるであろう。
通信、公証・認証の第三者サービス機関を利用することにより、当事者間の取引の