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(2) EDI化実現のためのルール

 

現状の紙と印鑑(国際的には署名)による商取引は、長い歴史に裏付けられた法体系と判例の蓄積があるため法的に安定しており、紛争の解決に際しても予見可能性があり、安心感がある。

しかし、電子商取引を推進する事が商取引のスピードと正確性を増し、コストを削減する上で必要不可欠のものであることを見てきた。(本章I.流通性書類等貿易金融EDI化に関する各業界からの評価参照。)電子商取引は、その歴史も短く、法体系や判例も少なく、確実性という点では劣る事は否めない。電子商取引に求められるルールとはいかなるものであるべきか考察する。

電子商取引を行う場合に考慮すべき関係者として、取引の相手先、電子商取引を媒介し、補助する関係者(一つはサ−ビスプロバイダー、今一つは輸送、通関、船積み、決済の各レベルのサービスを行う者)、これら以外の第三者、関係官公庁がある。これら関係者との法律上の関係が安定的となるようなルール作りが求められる。ル−ルは技術的要素と裏腹の関係にある。すなわちあるレベルの公証が可能であれば、あるレベルの電子的な権利移転が安定的に遂行できるし、その逆も真である。ここでは、ボレロが想定している程度の技術を前提とし、どのようなルールが設定されれば電子商取引が安定的に実現できると期待できるか考察することとする。ルールとは、まず当事者間の取り決めであるが、各国法制度の整備、国際条約の整備も必要になる。

なお、取引当事者間(ならびにその関係者)のルールとしては、国連勧告第26号があり、ドラフト段階ながらICCによる電子商取引ルールが提案されている。また、昨年度報告書を参照願いたいが、ボレロによるルールブックの提案が現実の商業ベース運営を行う前提であり、注目される。

 

 

 

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