(7) 最終権利者から連絡のあった受取人を確認して、運送人は当該受取人に運送品の引渡を行う。
(2) CMIの電子式船荷証券の特徴
CMI規則による電子式船荷証券の特徴は、1]EDIによって書面形式の船荷証券の流通過程を模倣していること、2]基本的には、EDIメッセージによる通知とそれに対する確認システムであること、3]電子式船荷証券の中央登録機関として海上運送人が設定されていること、4]個人キー・システムを導入して電子式船荷証券の流通性を保証していること、5]CMI規則は条約あるいは強行法規ではないので、当事者間の契約自由の原則に基づいて、当該規則に従って取引を行う旨の合意が行われた場合に適用されること等が挙げられる。また、6]CMI規則による電子式船荷証券メッセージの伝送には、それに抵触しない限り、当事者問の行動規範としてUNCIDが採択され、船荷証券のフォーマットとしてUNレイアウトキーが使用されること、UN/EDIFACT標準が適用されること等もその特徴である。
CMI規則の電子式船荷証券は、前記2つのシステムを含めて今までに開発されたいくつかのシステムの中で最も進んだ流通性電子式船荷証券に関する開放型システムを意図したものである。それは、加入銀行だけが利用できるSWIFTのような閉鎖的システムと異なり、関係当事者が特定のルールに従って取引を行う旨の多角的なEDI交換協定(いわゆるフレームワーク契約)を締結する場合に適用される自主的ルールの形式をとっている。こうしたシステムは、EDIを使用する取引において最も一般的に利用される契約的アプローチ(contractuaI approach)と一致する方式である。
(3) CMIの電子式船荷証券の問題点
けれども、書面形式の船荷証券上の記載内容に該当する受取メッセージに示されている権利の受諾と署名に該当する個人キーの取得という権利移転の仕組みをもって、従来の船荷証券の流通性を創り出すことができるか否か若干の問題が残る。それは、1]船荷証券の記載内容は運送人が管埋するので、果たして個人キーを含む受取メッセージが譲受人にとって運送品に関する決定的証拠になるかということ、2]個人キーによって行われる権利移転の際に運送人による現在の所持人の個人キーの破棄と権利の譲受入への新しい個人キーの発給の間における時間的ずれが生じた場合は、従来のような同時的な権利の移転と