この提案によると、すべての関係当事者が契約によって拘束されるフレームワークが必要で、第三者登録機関がこれらの当事者間のEDIコミュニケーションを担当することになる。特に電子式船荷証券の流通性を保証するためには、船荷証券に表彰されている権利の移転を合法化させる裏書の機能を含めて、現行の紙の船荷証券がもっている機能を十分に考慮しなければならないことを強調している。
NCITDの電子式船荷証券は、次の3つの概念に基づいている。
1] 管理機関(Control Party)は、荷送人または運送人が指定したコンピュータ通信会社で、信頼性の高い通信サービスの提供、すべての伝送記録の保管、荷送人およびそれ以降の荷受人に対する個人認証コードの提供および認証などを行う。
2] 個人認証コード(Individual Authentication Code: IAC)は、署名の代わりに伝送されたデータの真正性(authenticity)を確認するために管理機関が無作為に選定したコードで、権利が移転する都度変更され、管理機関が確認した最後の個人認証コードの所持人が運送貨物の所有者として認められることになる。
3] 船荷証券の固有番号(Unique Bill of Lading Number)は、運送人が受け取った貨物を識別する目的に使用するため最初に与えられるB/L番号である。
ロ. NCITDの提案の長所と短所
NCITDの提案は、1]完全な電子的方式による取引を実現するための機能的アプローチを採用したこと、2]電子式船荷証券メッセージの伝送はUN/EDIFACT標準に準拠して行われること、3]管理機関として、中央登録機関を特定しないで、運送人または荷送人が指定するVANを使用すること、4]電子裏書を導入したこと、e船荷証券発行請求権を認めていること等である。NCITDの電子式船荷証券を採用する場合には、現行の紙の船荷証券を使用しなくても、権利移転が可能となり、運送人に記録されている最後の荷受人が到着した物品の引渡を請求することがでる。
しかし、このシステムはアメリカではあまり注目されなかった。その理由として、1]管理機関が単一の中央登録機関でないため、情報管理の効率性を欠いていること、2]システムの故障等の場合におけるリスクの配分を含む責任に関する規定が不明確であること等