日本財団 図書館


5] 多目的利用フォームの用意

6] コピー部数の制限

(3) 海上運送書類のEDI化の試み

上記のように、コンテナによるユニット・ロード・システムの導入、コンテナ船による高速運送が実施された結果、いわゆる船荷証券の危機説が生じた。そこで、1970年代に海上運送状(Sea Waybill; SWB)が使用されるようになったが、これは権原証券(document of title)ではなく、物品の受取証と運送契約の証拠としての機能をもっているにすぎないので、貿易取引のEDI化を実施するために、貨物と運送契約に関する情報を仕向地に電子的に伝送する理想的な書類と考えられ、その電子化が船荷証券よりも早くから試みられた。

EDIメッセージは、紙の船荷証券に関連する現行の「流通性」(negotiability)という法的性格を伝送することができない。そこで、海上運送貨物の情報を迅速に伝送するために、紙の運送書類の代替として、流通性という機能を取り除いた電子式運送書類を使用するシステム開発が試みられたのである。

例えば、世界最大のコンテナ輸送会社であるAtlantic Container Linesは、運送書類に関する情報を仕向地に電子的に伝送するために"Data Freight Receipt System"(DFR)という一種の海上運送状のEDIシステムを1971年に導入した。これは、運送中の物品を代金確保の担保に用いない場合にのみ使用するので、実用化されずに終わった。

また、1976年にスウェーデンで開発された"Cargo Key Receipt"(CKR)も一種の海上運送状で、荷送人の「運送品処分権放棄」条項(NODISP)、運送人の「無故障」条項(CLEAN)および「担保」条項(SECURITY)を含んでいることが特徴である。売主は、CKRと引換えに、売主の取引銀行から貨物代金の代り金を受け取り、同行は荷受人である信用状発行銀行に必要なデータを伝送し、代金の支払と引換えにCKRを引渡す。運送人は着荷通知を荷受人(発行銀行)に伝えると同時に、着荷通知先(買主)にも連絡する。そこで、買主は発行銀行に貨物代金を支払い、同銀行の"Bank Release"によって、運送人から貨物を受け戻すというものである。このシステムも銀行の協力が得られず失敗に終わったのであるが、この基本理念は1990年の「海上運送状に関するCMI規則」に反映されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION