の移転としても機能することができるものである。1787年のLickbarrow v.Mason事件(注-1)の判決において、「物品が『指図人もしくは譲受人(to order or assigns)に引き渡されるべく船積みされた』と記載されている船荷証券は、その所持人に対して当該証券の譲渡により当該物品の所有権(the property in the goods)を譲受人に移転させることができる」という商慣習法(custom of merchants)を認めた。
また、船荷証券を担保(pledge)として提供することは、物品を担保として提供した効果を生じる旨の判決がある(注-2)。
コモン・ロー上、この様な意味における権原証券として認められた証券は他にない。しかし、船荷証券以外の証券であっても、これが商慣習法によって権原証券であることが証明されるならば、コモン・ロー上の権原証券となりうる。例えば、"to named person or their assigns by endorsement thereon"と記載した倉庫証券による引渡しについて、これが商慣習法によるものである旨が証明された。[Merchant Banking Co. of London v. Phoenix Bessemer Steel Co. (1877) 5 Ch.D.205.]また、"Mate's Receipt"に関連した判例がある。[Kum v. Wah Tat Bank Ltd. [1971] 1 Lloyd's Rep. 439.]
制定法上の"Document of Title to Goods"の定義について、1979年英国物品売買法は、「物品に関する権原証券とは、問屋法に規定するものと同じ意味である」と規定している(第61条第1項)。英国問屋法(Factors Act 1893)は、「権原証券という用語は、船荷証券、埠頭倉庫証券(dock warrant)、倉庫管理人証明書(warehouse-keeper's certificate)、物品引渡指図書(warrant or order for the delivery of goods)、その他取引の過程において、物品の占有または支配の証拠として、あるいは裏書きまたは引渡しにより証券所持人に対して証券が表彰する物品を譲渡または受領する権限を与えるものとして使用されるすべての証券を含む」と規定している(問屋法第1条第4項)。また、証券譲渡の方式について、「本法適用範囲内においては、証券は裏書により譲渡するか、または、交付により譲渡しうる慣習ないし明示条項があるとき、あるいは証券が物品を持参人に引渡すべく作成されているときは、交付により譲渡することができる」と規定している(同第11条)。