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(4) 貨物引渡請求権者の特定

『運送人は船荷証券の裏書きの連続を確認して、B/L所持人に貨物を引き渡します。実務としてはD/OをB/L所持人に発行すれば有価証券り免責的効力により、悪意・重過失が無い限り、例え真の権利者で無い者に貨物を引き渡しても免責されて来ました。電子化により、そのB/Lが無くなった場合に、運送人はD/Oを取りに来た相手が電子的には真正な荷受け人と確認されている者と同一人であるかを確認するリスクを負う事になります。』

電子化された仕組みの中で、B/L所持人の特定および裏書きの連続性は、TTPが運営するタイトル・レジストリにより、電子的に確認できる。また、B/L所持人の確認ができれば、当該所持人の管理するシステムに、セキュリティ機能付きで電子的D/Oを発行する事が可能となる。また、現場における貨物引き渡し業務における、貨物引き取り人の真正性を確認する必要があるが、それもD/O電子化の仕組みに取り込む事で可能となる。例えば、D/O発行時に暗証番号も伝達し、その暗証番号を提示できる現場の貨物引き取り人に貨物を引き渡す方法は最もシンプルな方法である。更に、革新的なターミナル管理システムでは、ICカードの仕組みの導入でそれを自動化する事も実現できるであろう。

(5) 運送品処分権に係わる問題

『電子B/Lの譲受け人は貨物が到着して引き渡しを請求するまで処分権は荷送り人に属している事になり、譲受け人の地位が不安定になり、貨物を確保できない虞があります。』

『荷受け人による荷送り人の権利の自動的継承、すなわち荷受け人に貨物の所有権が移転してしまい、それ以外の電子B/L譲受け人は運送品を安全に確保出来ない虞があります。』

『電子B/Lが有価証券では無いとすると、民法の債権譲渡中でも指名債権の譲渡の規定の適用が主張されると思われます。その場合は譲渡に債務者への通知や債務者の承諾を要することともなり、対抗要件としての確定日付のある証書が必要になったり人的抗弁が可能になる事も考えられます。』

『船荷証券の利害関係者中の或る者は、受け戻し証券性を主張し、他の者は電子B/Lは船荷証券では無い、として受け戻し証券性を否定した場合の問題等困った事態となります。』

 

 

 

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