EDIFACTメッセージにおける一般的なセキュリティ構造は図2.2.5のようになっている。まず、『セキュリティ・グループ・ヘッダー』の情報として、セキュリティ・サービスの種類、暗号方式、ハッシュ関数の種類、および公開鍵暗号方式の場合は認証局が発行する公開鍵認証書内容を指示する。これらのパラメターで指示されたセキュリティ機能は、後ろに続くメッセージ内容に対して施され、結果をセキュリティ・グループ・トレーラーに入れる。すなわち、ハッシュ演算の値やデジタル署名となる暗号計算結果をセットする。
以上がEDIFACTセキュリティの一般型であるが、EDIFACTシンタックス・ルールには、更にメッセージ認証用メッセージや鍵を管理するための特別なメッセージがサービス・メッセージとして定義されている。
1.3 業務上のリスク
取引きにおける企業間情報交換における安全性を検討する際、単に技術的解決策を諭理的に述べただけでは不十分である。
ここでは、「I.流通性書類等貿易金融EDI化に関する各業界からの評価」で分析された、電子化における業務上のリスクについて技術的側面から検討する。すなわち、これら業務上のリスクのどこまでが技術的に回避できるのかを考察してみたい。
(1) 運送人の多様性
『船舶による輸送の場合、必ずしも私的契約の当事者が"運送人"になる訳では無い。
例えば日本の代表的な外航船杜も、自己保有船以外によって運送す場合も少なくない。