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(a) EDIの普及・拡大の経過期間における二重運用の問題。

前述のような稼動状況のもとでは、事業者が折角システムを構築しEDIを導入して効率化を図ろうとしても、取引相手の業界の稼働率が低ければ書類の授受による業務とEDIによる業務遂行の二重運用体制を余儀なくされるのでEDI導入効果が減殺されてしまう。二重運用の期間を短縮する方策を関係業界間で検討する必要がある。

(b) 中小事業者にとっての情報化/EDI化投資負担が重い。

EDIを導入して業務効率化、事務処理経費節減を図るためには企業規模に拘わりなく次に掲げる情報化投資が必要となり、中小事業者にとって投資負担が重い割には得られる効果が少ないという問題意識があり、EDI化の普及が伸び悩む要因の一つともなっている。

1] 社内業務システムの構築経費。情報の共有化・再利用を可能とするシームレス情報システム、各部門毎の業務システムのリンクを図る必要があるが、EDIを導入した中小事業者の中には荷主から受信したS/Iデータを再利用することなく、D/Rデータを再入力して船社に送信している例が少なくない。

2] EDIトランスレータ・ソフトウェアの導入、社内情報システムとのインターフェース構築、マッピング(紐付け)作業及びS/Eコンサルティング費用

3] 複数ネットワーク対応経費(現状では単一ネットワークですべての業務情報を交換できる環境にない)、市販のEDIサーバーが複数ネットワークに対応可能であっても、次期Sea-NACCS専用サーバーとして使用することをNACCSセンターから要求されている例もあり、情報量が多くない中小事業者にとっては厳しい制約となる。

(a) 港湾物流業務に対応する標準メッセージが揃っていない。

港湾物流業務に使用するUN/EDIFACT準拠のサブセットは「国際物流EDI推進機構」「港湾物流情報システム協会」「S.C/S.F.NETセンター」でそれぞれ開発され、ユーザーマニュアル(導入手引書)が作成されたが、まだ全業務の半分にも満たない状況である。ユーザーマニュアルの対象外となった業務情報のEDIは業界標準または個別フォーマットを使用するか、それも用意されていない場合は書類・ファックスによる授受となり、対応が煩雑となる。

(b) UN/EDIFACTを導入、実運用している事業者が少ない。

関係業界の実務者が長期に亘って検討、開発し、ユーザーマニュアルを完成させても、前項の状況を嫌って大部分の事業者は導入を見合わせて、周囲の関係業界の動向を見極めようとしている。一部の事業者は個別対応としてUN/EDIFACTを導

 

 

 

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