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5. 港湾業界からの評価

 

5.1 はじめに

国際貿易(輸出入貨物)に係る港湾物流分野に関わる関連業界(民間)を大きく分類すれば荷主業界(メーカー、商社)、港湾運送業界、船会社(船舶代理店)の三つになり、商取引(貨物運送寄託)に伴う書類(業務情報)の授受を相互に行う、いわゆる、トライアングル情報授受の基本形が必要となる。このため関連業界が相互協力して1986年〜1988年にかけて運営組織を設立し、情報授受の基盤としてそれぞれS.F.NET(Shipper/Forwarder Network)、POLINET(Port Logistics Information Network;前身のSHIPNETから移行)、S.C.NET(Shipper/Carrier Network)を構築して参加事業者間で各種のメッセージがEDIでやり取りされていることは周知の通りである。

港湾運送業界は荷主の運送寄託を受けて、荷主と船杜の間に入って輸出入貨物の港湾運送及び所要の手続を行っているが、法的な業界区分でみると港運業者、海貨業者、通関業者、検量業者、検数業者、倉庫業者、陸運業者、外航利用運送業者(NVOCC)、海運代理店業者、貨物損害保険代理店など多岐にわたっており、同一の事業者が複数の事業免許を有する、いわゆる兼業者の比率が高く、かつ、事業者の規模はグローバルサービスをおこなう大企業もあるが、中小企業の比率が高いのが特徴的である。

さらに、現在の商取引上の力関係からみると当業界が最も弱い立場にあり、顧客である荷主の運送経費引き下げ要求は年々厳しさを増し、長期不況による輸出入貨物の激減に伴う集荷競争激化により値引きを余儀なくされ企業体力の損耗が顕著となり、業務効率化、経費圧縮のための情報化、電子化投資をも抑制せざるを得ない状況に追い込まれている。加えて、物流効率化を御旗に掲げた規制緩和の外圧にも晒されている。

近年においては顧客である荷主業界が物流に注目し、トータル物流経費の圧縮に力を入れている状況から、3PL(Third Party Logistics)をセールス・ポイントにしたビジネス・

 

 

 

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