において、(中略)自らの負け尻を支払えない先が1行でも出てきた場合には、当該時点のすべての決済が実行不可能になってしまう」ことになる。
「このように、時点ネット決済は、1行の支払義務の不履行が(当該債務不履行者と直接関係のない者も含め)当該時点で決済を行っている他の参加者全員に対し、直ちに広がる可能性を常に孕んでおり、この意味で、相対的にシステミック・リスクが大きい決済方法であると言える。」
「時点ネット決済は、決済金額を総取引金額の1割以下に圧縮可能であるとの・試算結果がある(BIS<国際決済銀行>年報」第64号)」
(出所:「日本銀行月報」日本銀行 1995年10月号)
37. RTGS:Real Time Gross Settlement「即時グロス決済」資金決済の方法のひとつ。相互の債権債務を相殺せずに、取引一件毎に総額による相対決済を行なう方法。大型資金の調達が必要になったり、資金調達のための担保の手配や決済期限内での迅速な対応が要求されるなどコスト高である。反面、当該決済はfinalityを有することから、決済参加者がすべてこの方式で決済を行なえば、参加者間での支払い不能の連鎖(システミック・リスク)を惹起する可能性は、ネッティングに比べ、比較的小さいと言える。
(4) 貿易金融EDIの意義と期待
38. BOLERO:スイフトとTTClubの合弁事業。合弁会社はBolero International Ltd.(本社ロンドン)貿易に関する全ての書類を電子的に交換するシステム。既に世界18ケ国の法制との整合性を研究調査。参加者全員を拘束する統一ルール(Bolero Rule Book)を制定し、各国における法制との整合性問題を契約によりクリアーするという手法をとっている。本格稼動の第一陣には、わが国をはじめ16ケ国がノミネートされている。EDIFACT標準の他テキスト、イメージなども利用可能。安全性機構として、ディジタル署名と公開鍵方式を採用し、認証機関を設置。ネットワークとしては、インターネットをはじめ各種の接続方式を許容する。24時間年中無休の予定。
現状:現在は準備段階。1998年11月からプロトタイプ・システムによるテスト(Bolero Launch Programme)が予定されている。正式な稼動開始は99年第2四半期の予定。