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(3) 通産省公募案件

1998年7月、わが国の通商産業省は貿易金融EDIの「実用化」システムの構築にむけて公募を実施した。応募した貿易関連企業を中心に、現在「貿易金融EDIのガイドライン」の策定作業が行われている。

1997年に関係業界が一同に会して検討された「貿易金融EDI調査・研究会」((財)日本貿易関係手続簡易化協会)を端緒として、その後の「EDEN」実証実験につづく本件の「実用化」公募案件(本年3月最終評価の予定)と、ここ数年はわが国の「貿易金融EDI」黎明の年とするに相応しいと言えよう。(注)

(注) 1997年にはFISC((財)金融情報システムセンター)においても、ほぼ時を同じくして貿易金融EDI研究会が発足している。Boleroの業務要件書やルールブックについてわが国としてのコメントを提出している。研究会の正式名称は「クロスボーダー取引における金融EDIに関する研究会」。本年度も第2部として同研究会が継続された。ビジネス・プロセス、法律・契約両面に関し、具体的な分析と提言が盛込まれる予定である。

(4) その他

流通性書類に関するEDI化との関連では、通関業務システムのうちsea-NACCSが大幅なシステム改訂のうえ、本年秋口に稼動の予定である。通関に関わる申請事務はもとより、air-NACCS同様、貨物の動きをすべて掌握するほか、UN/EDIFACTのデータ処理も可能となり、端末についても、現在の専用端末から一般的な任意の端末の利用が可能となるもようである。

銀行─企業間においては、各銀行がそれぞれ独自にファーム・バンキングを開発し取引先に提供している。貿易関連では、輸入信用状の開設依頼や外国送金依頼、輸入決済、輸出買取明細通知など、ファーム・バンキングを通じて企業と銀行との間で電子的な処理が行われている。一部は勘定処理と連動した付加価値サービスを提供しているが、クロスボーダーに直結するようなグローバルなシステムではない。金融業界の共同システムとしては、全銀共通手順によるアンサー・サービスがある。

 

4 貿易金融EDI導入に期待されるメリット

(1) 偽造、変造の防止

(2) 電子書類の搬送の迅速化─「B/Lの危機」の解消、

(3) 搬送コストの削減(国際書留郵便料金2便分⇔ネットワーク使用料金他)

(4) 事故やストライキなど外部要因に起因する書類搬送中のリスク削減

(5) 電子書類の保管管理の迅速化、一元化、スペースコスト削減

(6) 電子書類の瑕疵のない取引の実現(電子書類間のデータ相互参照・自動転記による誤記、転記ミスの回避、訂正後の書類との迅速な差替えなど)

(7) 貿易関係書類の処理効率の向上と点検作業の簡素化

(8) 輸出入書類点検作業の自動化

(9) 本部センター集中処理・自動化促進による要員育成・配置など負担の軽減

(10) 貿易書類の電子化対応した国際銀行として決済資金など関連周辺業務を含め、内外の顧客に対する幅広いサービス基盤の提供。

 

 

 

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