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に対し、貨物引渡請求権を有する証券原本を複数発行し、貨物引取りについてのリスクを包含した形での業務処理を容認していることを示している。

(3) 「電子」の特性と利用の進展

資金は特定市場に留まらず24時間世界の市場を駆け巡っている。今や世界中に展開した海外拠点の資金を、本社にて一括管理することも珍しくはない。決済の世界においても、たとえばネッティング(時点ネット決済)やRTGS(即時グロス決済)にしても電子的なサポートなくしては実現不可能となっている。その他海外からの電子情報を直接利用したグローバルな国際間の資金管理サービスを提供したり、顧客サイドでの自動連動処理、自動照査、取引記録の電送、会計記帳処理など各種周辺業務の電子化も着々と進められている。

(4) 貿易金融EDIの意義と期待

貿易金融EDIの導入は、銀行にとってもこれまでの関連業務を大幅に見直す好機であると捉えており、その最大限のメリット引き出しを図りたいと考えている。因みに、BOLEROが1996年に主要銀行を中心に実施したアンケートによると、省力化効果は4割以上との結果が出ている。

しかしながら、貿易金融EDIの効果は単なる事務処理の省力化にとどまるものではない。

銀行の経営基盤強化、顧客に対する内外の一貫したサービス基盤の提供の観点からも貿易金融EDIの導入は、クロスボーダ取引の相手方を巻込むかたちで関連業務のインフラそのものを大きく変えうるインパクトがあると期待している。

 

3. 流通性書類に関するEDI化の現状─EDEN、BOLEROその他

(1) EDEN

流通性書類に関するEDI化については、いわゆる「EDEN」(Electronic DeIivery of Negotiable Document)の実証実験が行われ、本年1999年1月に報告書が提出された。国内の参加企業間での擬似実験ではあったが、これ迄の研究の段階から一歩進んで、民間企業の参加により実際にシステムを構築し、参加企業間をネットワークでむすび実験が行われた意義は大きく、わが国の貿易金融EDIの幕開けとして明記しておく必要がある。

(2) BOLERO

海外との関連では、昨年1998年1月、スイフトとTT Clubが貿易金融EDIシステムであるBolero合弁事業化につきそれぞれ正式に機関決定が行われ、同年6月事業会社Bolero Operations Limitedが設立された(のちにBolero International Limitedと名称変更)。同年9月にはBolero Launch Programme参加企業に対しPrototypeのソフトウエアが配布・導入された。また、本年1999年2月には、本格的な機能を備えたBeta版が配布され、海外の貿易関係者と共同して実際の商取引をもとにした本格的な検証作業が、近々展開される運びとなっている。

 

 

 

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