ては、電子署名に関する立法が行われるなど、電子商取引の環境整備に向けた世界的な気運が高まってきている。
(3) 証券取引、為替ディーリング取引
わが国においては有価証券そのものの電子化は行われていないと言われるが、証券取引所の電子化や株式店頭市場JASDAQによる取引仲介、証券保管振替機構による有価証券の集中保管、売買、担保取引の管理、日銀ネットによる国債系システムなど有価証券の管理については電子化が行われている。また、証券取引所における電子トレーディング、外為資金の電子ブローキング(前掲)など電子化の進展が見られ、最近ではCP(コマーシャル・ペーパー)の電子化も再び話題に上っている。
(4) 資金決済取引
国際間の資金決済の分野では、いわゆるGIO(国際決済銀行(BIS))が、民間銀行に対しヘルシュタット・リスク─資金決済の時点のずれに伴う決済リスク─回避のための具体的な対応策を求める勧告がだされた。これを受けて1994年10月国際的な大手民間銀行からなるG20(Group of twenty)というグループが結成され、異種通貨同時決済システムのための業務要件定義書が取り纏められた。1997年7月には、新たにCLS Services Limited(CLSS、ロンドン)を設立、同年12月にはネッティング機構であるECHOならびにMultinetを買収している。現在日米欧60余もの銀行により2000年半ばのCLS Bank(仮称、CLS Bank:Continuous Linked Settlement Bank)設立稼動にむけ準備が進められている。対象通貨の中央銀行も最終決済に参加し文字どおり時差の壁のない地球規模でのPVP(ペイメント・バーサス・ペイメント)─異種通貨同時決済─が実現されることが期待されている。
2 貿易金融EDIの意義:
(1) 貿易関係業務の現状
貿易取引についてみると、14世紀新大陸発見以降、植民地貿易の隆盛を見る事となる。欧米各国が競って巨額の富を築いた植民地貿易の時代から、クローン羊を誕生させたり、はるか150億年も昔のビッグバン(宇宙の起源)を探索する今日まで、連綿と「紙」の書類に基づいた貿易事務が現在も行われている。
現状、貿易関係業者は数種類もの紙の書類を作成し、これを取引関係者の間を転々と流通させることにより、国境を超えて当事者間での財貨の交換を行っている。貿易取引に必要な「紙」の書類の搬送には、通常、国際書留郵便のほか民間、クーリエ・サービスが利用されているが、ストライキや事故、天災などがあると、郵便物は滞貨/遅配/紛失などのリスクが顕現することとなる。
(2) 「紙」の物理的性質
「紙」であるが故に、紙という素材の化学変化による印字の損傷、紙自体の磨耗、破損冠水・火災による損壊・焼失、さらには偽造・変造・盗難など各種の潜在リスクに晒されている。関係船積書類が万一紛失した場合に備え、「紙」のB/L(船荷証券:Bill of Lading)のオリジナルは通常3通発行されている。このことは特定貨物