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(3) 対顧客面

● 顧客との人的接点が希薄となり顧客ニーズの把握が出来ず、顧客サービスの低下に繋がる。

● システム接続による顧客(契約)の囲い込みができない。

● 貿易金融EDIの対応ができなければ、外航貨物海上保険を取り扱う損害保険会社として顧客の評価を失う。

 

4. EDI化に向けた損保固有の課題

(1) 荷為替信用状の保険条項

輸出貨物の保険証券を作成する際に、荷為替信用状の保険条項欄に実に不可解な内容を指定するケースが散見される。これは、信用状開設者である海外の買手(バイヤー)の海上保険の知識の欠乏が原因と推察される。損害保険会社は、不合理な保険条件に対しては信用状のアメンドメントを求めなければならないが、アメンド(修正)の手続に時間がかかり、売手(セラー)の顧客もその対応を嫌うために、1]保険証券の銀行買取をクリアーすべく不合理な条件指定をそのまま保険証券に明記し、後で不合理な条件指定を修正するべく追認状(Addendum)を本邦の売手(顧客)を通じて海外の買手に送付したり、又は2]不合理な条件指定に条件文言(Subject to ・・・・・)を追加して保険証券に表示したりしているのが現状である。信用状も電子化の検討が成されているが、電子信用状の保険条項の電子データを電子保険証券の条件欄にそのまま転記するのはいささか問題がある。荷為替信用状の開設者に海上保険の正確な知識を身に付けて貰うのが先決ではあるが、国際商工会議所も保険条項欄の表現方法につき簡素化・統一化を考えて欲しい。電子化への阻害の要因である。

(2) 保険証券の裏面約款と特別約款のデータ化

裏面約款のない保険承認状(Certificate of Insurance)の活用も考えられるが、特に保険取引の継続性のない海外被保険者(保険金請求者)との間では填補責任上の無用なトラブルを回避しなければならず、保険証券(Insurance Policy)の活用の方が裏面約款と特別約款との連続性/整合性を持たせ易く、損害保険会社として安心できる。しかしながら、裏面約款と特別約款の電子化への手法は検討しなければならない。

 

 

 

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