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従って、各船社の内部事情次第ではあるが、電子船荷証券の方が紙よりも発行時期が遅い、と言う事態も考えられる。

4.11. 船社の内部事情

船社の船荷証券作成システムが集中管理か分散管理かにもよるのであろうが、実状としては揚げ地等への電送のバッチ電送スケジュールは鉄道の運航表並みの過密スケジュールであり、貿易金融決済システムヘの電送にそれほど柔軟に対応できる訳では無く、S/A情報の早期電装など関係業界の協力が必要である事は理解されねばならない。

 

5. データの秘密性保持

保険業界の意見にもあるが、海上輸送業界も米国海事法の改正等により、同種の貨物と雖も各荷送人により運賃が異なる事になる。従って、EDI化された情報、特に運賃に付いては荷送人以外への漏洩は絶対に避けねばならない。

As arranged運賃(注16)の場合に付いての配慮は「報告書」74頁に記述されているが、それに留まらず、通常に運賃が記載されている場合と雖も、極端に言えば荷送人・譲受人以外の関係者、例えば通関業者にすら開示されてはならない様な仕組みが必要である。

これは反面でコピー部数の削減と矛盾する。

こうした秘密保持の観点からすれば、売買の決済と運賃の支払いとは分けて考えた方が良いのではないかとも思われる。具体的にはこの貿易金融決済システムでは運賃は一切扱わず、船社は前払い運賃支払い済み及び着払いの電子船荷証券のみを運賃情報を抜いて貿易金融システムに電送する。荷渡し地では船社ネットワークから着払い運賃額をA/Nに記載して支払いを受ける等の方法である。

何れにせよ、関係者の多さは指摘されてきた所であるが、その場合、問題となるのは一度電子化された船荷証券情報の利用を金融決済にのみ限定してしまうのか、或いは輸入通関申告用の情報や内陸輸送用にも利用していくのか、と言う問題である。

用途を限定すれば秘密保持は容易になるが効用が限定される。貿易書類作成費用削減の一つとして船荷証券の電子化を行うのならば、その情報は関係者のペーパーレス化・通関当局の電子申告受付などに応じて利用されて行くのが望ましい。

 

 

 

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