船社の実馳すれば、電子船荷証券の適法な所有者からの要求で無ければ訂正要求を受け付けない事にするのが当たり前だが、それで「迅速な決済」に支障は出ないのか、懸念される所である。
4.4.4. 発行後の訂正への時間的制限
電子船荷証券発行後は何時までその訂正は許されるべきであろうか。紙の船荷証券の場合は時期を問わず、と言っても荷渡し前だが、原則として発行船荷証券全通を提示する事で訂正している。更に船荷証券情報の訂正は、それに基づいて行われる後工程にも影響を与えるので、その面からの制約も考慮せねばならない。
もし、電子船荷証券の訂正に付いて、取り決め等で時間制限を付ける場合、例えば荷送人名の訂正(変更を含む)は銀行買い取り前しか駄目である、と規定したとする。荷送人名のスペル等の訂正要求があった場合には船社は紙の場合には単なるタイプミスならば即座に可否を判断でき、実質変更に該当する船には、裏書きの連続性等変更による支障の有無を確認して訂正に応じる事になる。
電子化した場合には、それらに加えて都度貿易金融システムのデータが訂正可能か否かを確認する必要が出てくる。通常はL/Cとのディスクレにより買い取られないのであろうから訂正は可能とは思われるが、何れにせよ、電子船荷証券の訂正には余分な時間が必要になる例である。
別の訂正例として、例えばFCL貨物の場合、紙の船荷証券であれば船社は中身には関知しないので、"衣服500着"が入っていると荷送人から通知があれば「said to contain」とスタンプを押してそのまま船荷証券を発行する。その後、発行船荷証券全通を提示して、これをスボン500着に訂正してくれ、との要求があれば訂正する。しかし、電子船荷証券の所有乃至占有が銀行に移転した後、荷送人が訂正を要求した場合、単純に訂正して決済手順上支障はないのか、等の懸念もあり、訂正個所。理由毎に決済システム上での訂正時間制限を設けるか、一律に制限するのかは使い勝手に大きく影響する事項である。
もう一つ訂正時期が問題になるのは、A/N送付先の変更である。もし電子船荷証券が