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「報告書」74頁ではBOLEROの様なネットワークがあれば船社独自のネットワークは不要となるかの如く記述されているが、当面、こうした金融ネットワークの機能が船社ネットワークで流されている情報を完全にカバーできるとは思えず、又使用費用等も不明の段階では将来的に金融ネットワークに代替する可能性に期待はするものの、当面は2ネットワーク併存を前提にした方が現実的であると思われる。

従って船荷証券情報は船社の社内システム>電子的貿易金融ネットワークと流れ、時として両者のマッチング等の為、電子的貿易金融ネットワーク>社内システムと言う流れが何れも船社側の起動によって生じるものとし、二重システムであることによって発生する船社システムの修正費用、タイムラグの危険性、及び手間の問題の考察はここでは省略する。

 

4.2. 船荷証券の発行の時期

電子化された船荷証券の「発行」は何を以て為されたとされるのかは法律の発効日との関係で適用法規が異なる場合もあり、又紛失時の失効(除権)・再発行手続当事者に関係する重大な事項に関連する問題である。

「報告書」134頁に電子船荷証券のビジネス・プロセス例示があり、135頁には認証プロトコール図があるので参照願いたいが、船荷証券情報を登録機関に登録した時点をもって発行とするか、船社から荷送人への所有権移転情報を以って発行とするか、は保管責任・賠償責任等も関係する重要な問題であり、如何なる方法により何時「発行」されたとするかで船荷証券発行前の手順に違いが出てくる。

システムの仕組み次第だが、運賃前払い船荷証券がある事を考慮すると仕組みとしては大雑把に言って3様考えられる。何れも船荷証券記載の「発行日」以降の「発行」(注15)作業である。

ア) 船社から前以て船荷証券情報をセンターに電送しておき、荷送人は、その情報を利用してエラーチェックを行ったのち、船社に発行依頼をする。船社は前払い運賃の入金確認後発行をOKする情報をセンターに流し、センターは船荷証券所有者を船社から荷送人にすることで発行が行われた事になる。

イ) 運賃入金した時点で初めて発行作業として電送する。従って電送の時点で自動的に荷送人に所有は移転する。

 

 

 

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