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これを避けるにはS/IのEDI化で船荷証券情報を関係者が共有するか、決済システムで対応するのならば例えば、「原則は紙不要。紙が必要な関係者には決済システムから船荷証券レイアウトによるコピーの打ち出しが可能となっている」等の必要性があるが、データへのアクセス権の制限と相反するだけに難しい問題である。

2.2. 電子商取引の進展によるペーパーレス化の進展

電子商取引(EC)の進展で発注─発送がEDI化された場合、貿易金融決済EDIシステムの様な決済プロセスの電子化にどの様な影響を与えるのか不明ではある。しかし間違いなく、貿易関係業者の社内のペーパーレス化には寄与するであろう。

最近米国等で普及しているインターネットを利用した調達ネットワークは一種の公開落札制度になっており、頻繁に調達先が変更されると言う。その様な場合の決済手段として今後どの様な方式が採用されて行くのか、未だ統一されてはいないが、先行しているウォルマート等は決済までを包含したものになっていると聞く。こうした調達システムが決済まで包含した時に、そこで採用される決済方法は従来の様に有価証券としての船荷証券を使用しだL/C決済を行うのか、船荷証券と決済を分離したものになるのか、更には金融決済システムだけが単独で存在しうるのか、密接な関係、統一性を持つものになるのかも船社としては興味のある点ではある。

更に商取引の電子化拡大により、貿易業界の社内ペーパーレス化が進展し、船荷証券コピー不要化、S/I情報の電子化に繋がっていく事を期待するものである。

MANDATEプロジェクトでは「紙の書類は発行されない」とフレームワーク契約に規定するとしており、当然、完全ペーパーレス化を達成した関係者のみが会員と為ることを想定している様である。(「報告書」47頁)

もし、この様な条件が付くとすると現時点ではEDI決済システムに参加しうる貿易業者(社内的にペーパーレスで営業活動を完結でき、資金移動(運賃振り込み、商品代金支払い・受け取り)は少数に止まろう。

万全のペーパーレス体制になっていれば良いが、さもなければ、参加した貿易業者が社内用・通関業者用・受荷主用等に紙が必要となった場合には当然自分たちの費用でシステム

 

 

 

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