更に言えば荷送人自身が通関業者にS/I情報を電送すれば、情報の正確度はもっと確実なものになる訳である。一連の手順の中にチェックと言う手順を入れると、それだけで時間を必要とし、電子化の効果が著しく削がれるので、決済の迅速化の為のEDI化であるならば当然の事として当該システム内でも外でも構わないので、一体のものとしてS/I情報のEDI化が推進されるべきである。
既に説明の通り、後工程の電子化としてはA/NとD/Oが対象となるが、この後工程のペーパーレス化も船社の費用削減に大きく寄与するものである。
2. 紙の混在の回避可能性
2.1. 同一企業での紙と電子の混在
多くの外航定期船船社はシステム的には社内ペーパーレスが可能な体制となっている。しかし現時点では多くの貿易業者では電子化された船荷証券のみでは業務が遂行できず、なお電子船荷証券と共にコピーを必要とするのは無いか、と言う懸念がある。
従来からも紙と電子データの混在が効率化を妨げるとして指摘されているが、それは或る荷主が紙を要求し、別の荷主は電子データを要求する場合を想定している様に思える。こうしたケースも非効率であるが、もう一つ、実務として非効率なのは、都度異なる対応が必要となる様な、同一荷送人での紙と電子の混在である。
考えうる増加する手間として、まず、船荷証券を電子で要求するのか、紙で要求するのか、と言う荷送人と船社間の連絡作業がある。次に、その情報を船社システムに入力する作業が必要となる。電子化しても、紙のコピー-が必要ならば、その枚数の連絡も必要であろう。
船社に取って印刷コストは大きな問題であるが、それでも全ての荷主が同一セット(例えば船荷証券オリジナル3枚、コピー5枚)を要求して来るのならば、印刷の際、用紙を予めその様にセットして於けば事足りるが、オリジナル不要でコピーのみ3枚などと不規則な枚数を要求されると、却って印刷に要する手間が増え、コストが増大する事になる。