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船社で船荷証券情報を入力する場合、前者では通関業者が用意した情報と異なる情報が船荷証券に記載・発行される可能性があり、後者では発行された船荷証券は基本的に通関業者が用意したものと同一であるが、発行された船荷証券と異なる船社情報が存在する可能性がある。

貿易金融決済システムを考える場合には、荷送人からデータの形で船荷証券情報が船社に流れない限り、その他の何れの方法が取られるにせよ、荷送人は船社が入力した船荷証券情報を発行前にチェックするか、発行後に訂正する手順が必要となる。

1.2. 電子化されるべき船荷証券関連情報

船社にとっては参加する荷主全てが、自社ネットやS.F.ネット(注3)でS/Iを出し、それがPOLINET乃至Sea-NACCS経由の何れかでデータの形で入手出来、少なくとも当該荷主には一切紙の形では出さない様にならない限り、船荷証券作成コストの削減は不可能であり、その為には船荷証券そのもののペーパーレス化と共に前工程と後工程の電子化が必要となる。更に言えば今後出現するであろう複数の決済システムが統一のフォーマットと手順で対応出来るものである事も肝要である。

「報告書」75頁ではBOLEROの普及によりS/I情報の電子化が進む事を期待しているが、現実問題として、荷送人─>通関業者のEDI化(例えばSFネット)が進展しない限り、船荷証券情報の前工程としてのS/I情報のEDI化は進展しないであろう。

この点では1999年度稼働開始予定の新Sea-NACCSからの船荷証券情報の入手の方が船社に取りコスト削減に寄与するものとして期待するところが大きい。

もし船社が外部からデータの形で船荷証券情報を受け取れれば、基本的には、こうした情報は変更しない。削除されるデータとしては「Underdeck stow」の様に積載場所を指定するもの等であり、付加される情報としては例えばFCL貨物に対する不可知約款の様なものはあるが、それを除けば電送された情報が、そのまま船荷証券として使用されるので、荷送人がチェックするのは通関業者の発信した船荷証券情報で良い事になる。

 

 

 

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