4.3. 運送品処分権の問題
商法582条荷送人または貨物引換証の所持人は運送人に対し、運送の中止、運送品の返還その他あ処分を請求することを得・・・・・・。
前項に定めたる荷送人の権利は運送品が到達地に達したる後、荷受人がその引き渡しを請求したるときは消滅す。
とあり、電子船荷証券の譲受人は貨物が到着して引き渡しを請求するまで処分権は荷送人に属している事になり、譲受人の地位が不安定になり、貨物を確保できない虞がある。
この点ではSWBでも同一の問題があるので、荷送人の運送品処分権を制約するためのNO DISP(No Disposal)条項があり、この条項により荷送人が運送人に意思表示して運送品処分権を荷受人に移転する、とするもので、SWB上に明示されるべきものとされている。(当委員会平成3年度報告書「貿易手続のEDI化に係る法的諸問題」33頁)
但し、この条項とは反対に、SWBの場合、貨物が到着してしまえば、荷受人が引き渡しを要求できるので、下記の如く売買決済が済まない内に引き渡されるのを防ぐ為に、処分権を荷送人に留保する場合もある。何れにせよ非流通性運送書類を決済に利用するための工夫であるが、こうした条項は船荷証券へのスタンプ・クローズ(特別約款)となるので、電子船荷証券におけるスタンプ・クローズの効力発効要件の面からの考察も必要である。
4.4. 荷受人による荷送人の権利の自動的継承
商法583条運送品が到達地に達したる後は荷受人は運送契約に困りて生じたる荷送人の権利を取得す。
と規定しており、荷受人に貨物の占有権・所有権が移転してしまい、それ以外の電子船荷証券譲受人は運送品を安全に確保出来ない虞がある。
4.5. "法律上当然の指図証券性"の否定の虞
商法574条貨物引換証はその記名式なるときといえども裏書きによりてこれを譲渡することを得・・・・・。