4.2.3. 解決策
結局何らかの書類、例えばSWBで一部の船社により行われている、到着通知(A/N)を送付して、その持参人に貨物を引き渡せば良い、と言う様な手続を取る必要がでてくるものと思われるが、そうすると、最終権利者の確定─通知先の確定─A/Nの発送と言う手順が必要になり、少なくとも迅速な貨物の引き渡しの支障になる。
貿易金融決済システムの中で、着払い運賃支払い確認後に、正当なる貨物引き渡し請求権者のみにしか入出来ない資格証明書を発行し、それと引き換えに貨物を引き渡せば、船社は免責される、とするのであれば、私的契約でD/Oに免責的効力を与えるものであり、システム的にD/O発行先を特定するのと同一の方法と言える。
多くの場合、D/Oを引き取りに来るのが荷受人から要請された通関業者・トラック業者であったり、単なる"お使いさん"(いわゆるランナーさん)の場合である事を考慮すると、最終権利者から依頼を受けた人が来社する場合が多いので、この「免責効力」は船社にとっては重要な問題である。
4.2.4. A/Nの不要化
A/Nに付いて付言すると、「報告書」36頁に記述してある様に、当初から記載の通知先に通知すれば足りる(つまり荷受人は始めから予定されている)と言うビジネス・フローの優で良い、と言うのならば、ペーパーレス化の為には、到着通知先が荷受人と同一ならば無論の事、違う場合には荷受人が情報を与えると言う手順にして私的契約でA/N不要を明文化するべきであろう。
このA/N及びD/O発行作業は荷渡し地にとってはかなりの費用と作業量である為、こうした発行業務が無くなる事は船社にとっては大きなメリットであり、実際に貨物を引き渡すコンテナ・ターミナル等への船荷証券情報のオンライン化が今後進む中で、A/NとD/Oのペーパーレス化・不要化は輸入業務関係者にとっても経費削減のための重要な手段である。是非とも貿易金融EDI決済システムの枠内で実現して欲しい課題である。