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3.3. 補償制度の必要性

もし船荷証券が非メンバーに譲渡され、その結果、私的契約当事者が損害を被る者が出た場合の補償も私的契約の中に設定しておく必要がある。船杜の貨物に対する損害賠償責任を保険カバーしているP&I Clubの集まりである「The Intenational Group」は船荷証券の電子化により、現在の約款では補償されないリスクがある旨、船杜に警告を出している。どのような危険があるか例示されていないが、船荷証券が発行されない事による賠償責任の範囲の拡大の可能性を念頭に置いているものと思われる。

 

4. 有価証券が発行され無い事により発生する問題

4.1. 問題の原因

例えば"報告書"25頁以下に万国海法会(CMI)が1990年に採択した電子式船荷証券のためのCMI規則が説明されているが、こうした規則が法制化されていない為に生じる問題や、法制化されても解決されない問題がある。

ICCの"テレトランスミッションによるトレード・データ交換取扱統一規則"(UNCID)の採択の過程で特別合同委員会は標準通信協定書に関連してユーザーがEDI協定書を作成するときは、危険が発生した時の負担に付いて検討して協定書に盛り込むよう示唆している。(平成7年度当委員会報告書12-14頁)

これは、通信に関してのものだが、同様に、BOLEROの様な私的協定にも関係者が負う危険を解析し、その処理方法を盛り込むことが必要であろう。

MANDATEプロジェクトでは法制化への経過的処置として、まず、当事者間で合意して流通証券等価物を確立し、この概念の広がりにより、法制化していく、との見通しを持っている様であるが("報告書"46頁)、その過渡期に関係者には、どの様な危険が何処にあるのか、そのをどう解決するのか、を例示してみたい。これらリスクには従来から(電子化しなくとも)存在していたものと、電子化により、新たに生じるものとがあるが、ここでは後者を中心にして取り上げる。

 

 

 

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