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2. 船荷証券に係わる利害関係者運送人以外に次ぎの様な人々が考えられる。

荷送人(shipper):運送契約の一方の当事者。但し真の意味での荷送とは限らず、FOB契約であり、単に売り主に過ぎない場合や複合輸送業者が船社と輸送契約をしながら、船荷証券上にはこの複合輸送業者の荷主名を記載する場合がある。こうした運送契約の当事者では無い者が荷送人として記載された場合、私的契約は適用困難であろう。

荷受人(consignee):運送契約上、貨物の引き渡しを受ける者。指図式(To the order of the shipper乃至単にTo orderと表記)として特定されていない場合が多い。

船荷証券所持人:適法な所持人としては指図式の場合の連続した裏書きで譲受けた者。選択無記名式または無記名式の場合は船荷証券の所持人。単なる輸入通関業者など適法な所持人から船荷証券を預けられた者、等々。

到着通知先(Notify Party):Arrival Noticeの通知先で通常は売買契約の相手方一社のみが記載されるが、複数社名が記載される場合もある。転送(tranship)などで船荷証券記載船名と実際の揚げ地への輸送船名が異なる場合があり、円滑な輸入手続の為には不可欠な通知であり、早期の通知を要求する荷受人が多い。もし貨物が転売される場合に通知先も変更されるのであれば何時、通知先を特定するのかが問題となる。

その他:二重売買や所有権の移転が留保されている場合等の貨物に対する所有権を主張する人々や貨物関係者の債権者。

紙の船荷証券が発行されていれば、運送人はこうした"貨物を巡る実体的関係"には左右されず、有価証券としての特性である"単純な裏書・交付による権利の移転"と"人的抗弁の制限"の下で対処すれば足りるが、発行され無い場合は、こうした実体的関係に巻き込まれる可能性がある。

 

 

 

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