(注10) 運送人:通常船荷証券の裏面約款には誰が運送人が定義してあるが、多くは"Carrier" means xxx(船社名)and the vessel and/or her ownerとか、"Carrier" means the Owner or demise Charterer of the ocean vessel on whose behalf this Bill of Lading has been issuedの様な文言となっている。(ICC荷為替信用状に関する統一規則および慣例1993年改訂版(UCP500)第23条i参照)
1.2. 荷送人、荷受人乃至船荷証券譲受人・所持人の多様性
MANDATEプロジェクト(注11)の場合、全当事者(通関業者等単なる関係者までは含まないものと思われる)(注12)を加入者とする規定があるが("報告書"47頁)、限られたプロジェクトならばともかく、商用化した場合にその様な制限を設けていて多数の参加者を得る事が可能とは思われない。
こうした電子船荷証券クラブに荷送人がメンバーとなるのは必須の事であるから問題は無いとして、荷受人乃至船荷証券譲受人までもがメンバーである商取引の件数は少数に止まるであろう。もし、関係者をメンバーに限定するのならば、船荷証券の譲受人に非メンバーへの転売禁止をするなどの必要があり、広範囲に利用される事を前提とした貿易金融決済EDIシステムにおいて、この「メンバー」条件がその拡大に対する支障となろう。
やはり、どこかで紙の世界が混入してくる事を前提とした仕組みを考える必要があろう。
(注11) MANDATEプロジェクト:EC委員会がEU加盟国間においてEDIの導入を達成するために進めたプロジェクトの一つ。主たる目的は「流通性」の本質について検討し、紙の流通性書類を電子的環境に移行させるための方法を検討しようと言うもの。詳細は「報告書」38頁IV.流通性書類のEDI化への取り組みを参照。
(注12) 当事者:この場合の当事者とは運送人・荷送人・荷受人等の極めて狭い範囲の関係者を指すものと思われるが、通関業者等は船荷証券情報を必要とする運送関係者であり、彼らも現在、紙(船荷証券コピー)を必要とする関係者である。彼らを電子化のクラブから除外したのではぺ一パーレス化の効果は薄い。