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2. 船荷証券情報サイクルの電送化の進展のメリット

後述する如く、船荷証券情報サイクルのEDI化は船荷証券の電子化にとって、インフラ的役割を果たすものなので、こうした貿易金融EDI決済システムの普及は必然的に荷主からのS/IのEDI化に波及するものと思われるが、これにより、精度の高い船荷証券情報の船杜宛早期電送が可能となる事で、チェック不要化や通関申請前にユニークな船荷証券番号付与が可能になり関係者間での検索キーとして使用出来るようになる等、利便性が向上する。また関係者が船荷証券情報を共有するので船荷証券コピーが不要になるなど船荷証券作成関連費用の削減に寄与するものと思われる。

 

3. 最終的に目指すもの

単に船荷証券のみを電子化し、決済をEDI化しただけでは貿易手続の簡易化としては不十分で、船荷証券やA/N、D/R(注8)、CLP(注9)など、その他の船荷証券関連情報までをも、その発生源から最終段階までを統一仕様によるシームレスなEDI化を行わなければならない。その意味では貿易金融EDI決済システムは、その一部に過ぎない。むろん一つのシステムでこれらをカバーする必要は無く、既に存在する或いは今後設立される異業種間VAN等によりカバーされれば良いのだが、それらは全てシームレスなデータ交換が出来るものでなくてはならない。こうした配慮を持たないシステムは多数の参加者を得られないであろう。

(注8) D/R:D/R(Dock Receipt)はコンテナ貨物をコンテナ・ターミナル(CY)乃至コンテナ・フレート・ステーション(CFS)での貨物の受け渡しに使用されるが、セットになっていて、コンピューター入力用や船荷証券印刷用などのシートが含まれている点はS/Aセットに似ている。

(注9) CLP:CLP(Container Load Plan)はコンテナに積載された貨物の明細をコンテナ内での積載位置とともに記載したもの。この情報により、1件の船荷証券で複数のコンテナをカバーしていても、どの貨物がどのコンテナに積載されているか識別出来る。

 

 

 

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