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S.C.ネットでも見られた現象であるが、一度船荷証券情報をコンピューターに入力して、そのデータを使用して船荷証券を作成する「船荷証券の事前電子化」を行っていない船社にとっては、BOLEROプロジェクト(注6)の様な外部のシステムへ船荷証券情報を流す必要がある場合には、その対象船荷証券件数が少ない内は、当該船荷証券のみを外部システム用に特別に入力する、と言う対応になり、船荷証券作成とは別の付加的な作業となり経費増でしか無い。その対策(補償)としてもペーパーレス化による経費削減は不可欠であろう。

(注4) A/N:A/N(Arrival Notice)は船荷証券のN/P(Notify Party)欄に記載された通知先に貨物の到着を連絡するもので本船名、到着予定日、後払い運賃額等を記載してある。日本向け輸入貨物の場合、郵送するのが通常であるが、時間・郵送料節約のためfaxしている場合もある。これの電子化乃至不要化は船社業界にとっては大きなメリットとなる。

(注5) D/O:D/O(Delivery Order 貨物引渡指示書)は船社から貨物管理者(在来船ならば本船、コンテナ船ならばコンテナ・ターミナル等)に対する貨物の引渡指示指図書である。従来の手順では荷受人は船荷証券を荷渡地で船社に提示してD/Oを受け取り、それをコンテナ・ターミナルに持参して貨物を引き取っている。通常、こうしたD/O受け取りは輸入海貨業者が行っているが、船荷証券を提示すべき船社の事務所が街中に在るために、船荷証券提示と貨物引き取りは違う場所で行われており、人手と時間を必要とする業務となっている。もし電子化されれば、こうした海貨業者及びコンテナ・ターミナル運営会社にとってコスト削減となろう。

(注6) BOLEROプロジェクト: BOLEROの場合、2種類あって紛らわしいので、1999年春に商用化予定の方をBOLERO商用システムと呼び、昨年度JASTPRO内に設置された貿易金融EDI調査・研究会が、そのBRSを検討したものをBOLEROプロジェクトと呼ぶ。どちらもBOLEROと言う名前が付いているが内容は全く別のものと考えて戴いた方が良い。尚、貿易金融EDI調査・研究会の報告書が「我が国における貿易金融EDIのあり方に関する調査研究」(JASTPRO9-3)として平成10年3月にJASTPROより刊行されているので、BOLEROプロジェクトの詳細に付いては、そちらを参照願う。

 

 

 

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