み荷目録や船荷証券コピー)などを郵送していたのでは間に合わないし、何より取引のグローバル化により各地で貨物移動状況を検索する必要が出てきており、船荷証券情報を含む物流情報のデータ化は船社自身の業務及び顧客サービスの為に必要であった。
又先進国の税関では通関業務を自動化してきており、船杜と輸入業者(通関業者)双方からデータで受け取り、自動照合するシステムにしている。その為に船杜に積み荷員録情報をデータの形で要求しており、何れにせよ外航船社にとり船荷証券情報のデータ化は不可避であった。
この為大手邦船定期船会社は方法・程度は多少異なるが船荷証券情報・物流情報をデータ化し、それを流す世界的なネットワークを構築しおわっている。("報告書"34頁参照)
この意味では船社は「船荷証券の危機」を自助勢力で切り抜けた、と言い得よう。
2. 海貨業界とのEDI
海貨業界とのEDIシステムとしてはS/A情報(注1)をVANでやりとりするPOLINET(注2)がある。しかし、参加する船社、海貨業者が少なく、初期の目的を遂げていない。
原因は双方の業界が「相手業界の参加が少なく、メリットを得られない」事を上げているが、船社業界から推測すると、その背景には荷主─>海貨業者のEDIが推進されていないと言う事情があるものと思われる。
その点では本年度中に稼働を開始するSea-NACCSシステムから輸出通関情報(正式には、船積確認事項登録情報という)が得られれば、「船荷証券の前工程であるS/A情報のEDI化」は一段と進展し、船荷証券の電子化のインフラが整備され、その普及に一層の進展があるものと期待される。
(注1) S/A情報:似たような用語が多く、且つ同一のものが違う用語で使用されている例も多いので、船社業界での用語を示すと、荷主─>海貨業者がS/I(Shipping Instruction 船積依頼書)、海貨業者─>船社がS/A(Shipping Application 船積申込書)、船社─>本船がS/O(Shippi? Order 船積指図書)である。