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3.2. その他の方法の評価

例えば「船荷証券一通のみの発行」と言う案に付いて評価すると、BOLEROプロジェクトの場合は電子船荷証券の所持人が紙の船荷証券への変更を要求することを可能としているようであるが(「報告書」65頁)、もっと割り切って、(オリジナル一通のみの発行案の変形であり、誰が誰に発行するのか/裏書きの連続問題等はここでは一応無視した上でだが)、最終権利者へは紙の船荷証券一通を発行させる事を義務づければ、電子船荷証券の最大の問題である有価証券が発行されないことに伴う問題は回避できるであろう。

或いは、電子非流通性運送状を使用するのならば、最終権利者へは下足札や小荷物預かり証の様に免責的効力のある書類を着払い運賃の支払いを確認した後にD/Oに代えて決済システムから発行し、貨物引き渡し場所の船社店処へ持参する事にすれば問題の一部は解決する。

何れにせよ、電子船荷証券の有価証券性が電子化の支障になるのならば決済と船荷証券の切り離しを行う事も検討されるべきであり、BOLEROプロジェクトも結局電子データで決済を行う事により、従来の文書船荷証券と切り離しを行ったとも言える。又、EDENプロジェクトは決済方法としてNETTINGとL/C決済を実験した由だが、NETTINGであれば、やはり決済と船荷証券が切り離されている、と言って良かろう。

コンピューター化する場合には、その前に業務の合理化を行う必要があるが、BOLEROプロジェクトも伝統的な船荷証券の有価証券性から脱却出来ず、紙時代の手順をそのまま電子化している面が見られ、それ故にEDI決済システムを複雑にしている点がある事は否めないと思われる。

 

(1) 船社業界の船荷証券関連情報EDI化の現状

 

1. 船社内部のシステム化:船社業界による「船荷証券の危機」の克服

定期船の高速化のコンテナ化と共に船社実務自体にも影響を与えており、例えば本船は日本から米国西海岸まで一週間から10日程度で到着するが、その場合、揚げ地用書類(積

 

 

 

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