日本財団 図書館


2.2. 不定期船船荷証券の除外

今回の評価では不定期船の船荷証券は除外した。現在構想されている貿易金融決済EDIシステムが想定している船荷証券は転売回数の少ない、定期船の船荷証券と思われるが、大手外航船杜では定期船と不定期船では海外の代理店が異なっていたり、不定期船は一般当たりの船荷証券件数が少ないため、手仕舞い手順も定期船とは異なったものとなっていたりしており、更に船荷証券情報のコンピューターへの入力項目も会計情報のみに限るなど、電子化が遅れている等、同一船社でも対応が異なる場合があり、極論すれば定期船と不定期船では船荷証券に関しては別の会社と考えた方が良い場合が多いためである。

 

3. 電子化以外の貿易手続簡易化

3.1. 国連から勧告されている「その他の方法」

UN/ECE勧告第12号「海上運送証券の手続簡易化のための方策」は背景1.に於いて「船荷証券の危機」を危惧し、背景7.で用紙や印刷に係る直接経費以外に証券の準備や処理に係る経費にも注目し、コピー部数削減を含む事務処理費用削減の必要性を指摘している。

そのための方策として、非流通性の海上運送状であるSWBによる流通性船荷証券の代替、オリジナル1通のみの流通性船荷証券の発行、裏面白紙フォームの使用を勧告する。(邦訳はJASTPRO刊87-14、「国連勧告集」より引用。尚本勧告は1993年に改訂されている)

同勧告でも指摘されている通り、船荷証券の持つ流通性を如何に処理するかが簡易化の鍵であるが、今一度、分析・評価の基準を「貿易手続の簡易化により、決済の迅速化と印刷等船荷証券作成費用の削減をぺーパーレス化により達成する事が出来るか否か」とした場合、以下の各点に留意する必要がある。

● 電子船荷証券のみが唯一の解決策であるのか

● 電子化すれば総て解決するのか

● 電子化した場合の問題点は何か

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION