尚、本委員会が過去に指摘した問題点は平成9年度EDI制度手続簡易化特別委員会報告書(以下「報告書」として引用する)に纏められているので参照願いたい。
又、「船荷証券の危機」への対応策の一つとして、非流通運送状であるSea Waybill(海上運送状-以下SWBと略す)の使用を推進されている蔵 和弥氏(中小企業事業団国際取引アドバイザー)の論文「シーウェイビルヘの時代〜貿易取引にビーエルは、本当に必要か〜」が月刊JASTPRO No.223,224に掲載されており、非流通性書類である事の利点に言及されているので併せて参照戴きたい(上記「報告書」に追補として「貿易取引とSWB利用の現況」と言う題でも掲載)。
船杜関連業界は、EDIによる貿易関係書類のぺーパーレス化には異業種間EDIの検討・普及を通じて積極的に取り組んで来た。POLINET(旧シップネッツ)やS.C./S.F.ネットがその例である。ぺーパーレス化の先駆的業界としての経験に基づいて更なる進展の為に、貿易手続の簡易化に役に立つか、即ち「シームレスで統合的な」EDIシステムとして必要な事碩が実現されているかと言う観点から評価・提言を行いたい。
2. 評価・考察の対象
2.1. 電子船荷証券等の流通性・有価証券性
「報告書」63頁にもある通り、BOLEROプロジェクトは電子化する対象書類の中にも流通性を持つもの(電子船荷証券)と非流通性のもの(電子海上運送状)とが予定されている様に、電子化に当たっては流通性書類及び非流通性書類の両方に付いての評価・考察が必要であろう。
現在多くの大手外航定期船会社は船荷証券情報のみならず、各種の物流情報をデータ化して積み替え港や揚げ港、荷渡し地が参照・使用出来るようにしており、更には自社ネットワーク又はインターネットによる貨物関係者への貨物動静情報の提供を行うなどしており、これら物流情報をあらためてBOLEROの様な社外ネットワークである貿易金融EDIシステムに流す必要は無いので、貿易金融決済EDIシステムに流す対象は船荷証券の等価物としての電子船荷証券情報であり、主として電子化された情報の有価証券性の間題のみを検討すれば良いものと思われる。(「報告書」34頁参照)