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6 EDEN

BOLEROに触発された形で、わが国には97年度には2つの研究会が発足した。1つは(財)日本貿易関係手続簡易化協会、今1つは(財)金融情報システムセンターである。いずれの研究会もBOLEROの概念は、貿易の電子化に役立ち、優れている、と評価した。

97年12月我が国初の貿易金融分野における電子商取引実証実験プロジェクトが開始された。「貿易管理手続き簡素化のための流通性書類の電子化プロジェクト」という。略称をEDENとして(参考)の部に紹介している。

BOLEROと比較した場合、EDENの特徴として以下の点が指摘できよう。

・ 特定の業種(商社、銀行、船会社)を対象としている。(今後関係業種は増加すると思われるが)

・ それら業種毎の、および業種間の業務を分析し、業務フローとデータフロー(文書の作成者、移転のタイミング、方法等)を分析し、モデルを作成した。

・ 取引のパターンを限定し、信用状による、指図式船荷証券が発行される取引を前提とした。もっとも複雑と思われるパターンで実験すれば、他の取引形態は類推可能であると判断した。

・ B/L、Invoice、Packing Listという典型的な貿易文書を中心とした「買取り書類」という文書の集合(フォルダー)を意識した。

・ 交換した文書データはダミーであったが、UN/EDIFACTに準拠したSC/SFネット標準メッセージを利用し、開発工数・期間を短縮した。

・ なお、EDENに関する関係業界参加企業からのコメントについて記す。

* 実験を経て始めて理解できたことが多かった。

* 想定された取引パターンとモデルの中では十分実用化の可能性がある。が、SWB、AWBへの対応も必要である。

* 現実には相手先、相手国の状況に応じた柔軟な方式、対応が必要。

* 社内システムとの連携が今後の課題。

* 操作は容易で画面は見やすいが、画面上の項目配置の標準化が必要。

* メッセージの検索機能が無い。

* 社内処理との関係で担当者、責任者等の区分が必要。

* 第三者への秘密漏洩、改竄の危険は利用者には判断できないが、紛失リスクは減少。

 

 

 

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