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このような基盤の上で電子的に貿易および貿易に付随する取引を行うことにより、すべての関係者(上述)にとって迅速性、正確性が増大し、経済的な利益を得ることができる、としている。

(2) BOLEROの提案(2)ルールブック

BOLEROは現在の国際電子商取引の法的環境を次のように記述している。

「各社は格別な国法も無しに電子商取引を行っているが、曖昧さが(電子書類の)受け入れを困難にしており、権利証券(negotiable documents)を支える明確な法的基盤が必要である。」

事実、わが国でも電子商取引を巡る法制度についてはようやく検討が開始された段階である。個別には、例えば通関業務に関するNACCS特別法のように、紙の書類を用いない通関事務に関する法律があるが、企業間で電子商取引を行う際に準拠すべき一般法は存在しないのである。

また、電子商取引の結果、紙の書類に替えてデータで保存したいと考えたとき、クリヤしなければならない問題が多い。最近まで、税法上の帳票は紙で保存する義務があったが、「データの保持が確認でき、監査証跡が明らかである場合」データによる保存が認められるように変更された。商法、証券取引法、その他の公法、私法上の要請で紙の書類が義務づけられている場合が多く、せっかく取引そのものは電子化出来ていても、わざわざ内容をプリントアウトしてそれを保存している場合もある。

更に国際間の電子商取引となると、問題は複雑になる。

1] 相手国の法制度が電子商取引を認めているか?

2] 訴訟法上証拠能力が認められているか?

3] 国際法、条約、協定が存在するか?

を確認する必要がある。

これら一切の煩わしさを省き、参加者全員が規約(ルールブック)に同意することにより、国家間の法制度の違いや、条約、協定が存在しないことの不備を補ってしまう、というのはBOLEROのユニークな特徴であろう。

 

 

 

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