だが、21世紀になってもECの圧倒的部分は企業間取り引きであるに違いない。調査機関は企業間取り引きの占める割合は全体の80%以上と推定している。また、個人が買い物をした場合でも、その後の配送、決済の部分は企業間取り引きが絡む。
ここで企業間データ交換を上に述べた原始時代に戻せ、というのだろうか?メトカルフの法則、というのがある。ネットワークの効果は参加者数の平方(二乗)に比例する、というものである。これを信じるなら標準化を推進し多数の参加者を得て効率化を推進すべきではないだろうか。それともこれを信じない?
そのような環境の中で、従来のEDIのあり方に異を唱え、世界の貿易取り引き並びに決済を一つのチェーンの中で済ませることの出来る仕組みの提案がでてきた。わが国で「貿易金融EDI」呼ばれている提案の内、BOLEROとEDENを評価する。一般的に従来のEDIでは、単なる「情報」を交換していたが、これらのプロジェクトは代金決済に関係する有価証券性のある文書を電子的に授受できるようにしよう、とする点が違いといえる。
3 電子商取引の必要性
国際間の商取引、物流を考える時、紙の書類であるがゆえの問題が浮かび上がってくる。近年、船舶の大型化、高速化と共に、船荷証券より貨物(船舶)が先に到着してしまう、いわゆる「B/Lクライシス」の問題が大きくクローズアップされてきた。
古典的信用状取引においては、船荷証券は他の買取り書類と共に銀行を経由して受け荷主に引き渡されるが、この過程に長同数を要するため、貨物を引取る際に必要な貨物の受戻し証券である船荷証券は未着となってしまう。そのため、受け荷主は船台杜に対し、「船荷証券が未着であるが貨物を引き渡して欲しい。なお、このために一切迷惑はかけない。」旨の保証状を提出して貨物を引取る。受け荷主単名のこともあるが、銀行が発行する保証状を要求されることも多く、その手間と金利は馬鹿にならない。
これを解決するには、2つの方向があった。1つはB/Lの持つ有価証券性がむしろ省力化の妨げになっている、としてこれをSWB(Sea Waybill)で置き換えようとした運動である。AWB(Air Waybill)からヒントを得て、SWBは流通性を無くし、荷主は一旦SWBが発行されると権利の移転を勝手に行うことはできないことを確認され、その旨、