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第二章 各論

 

I. 流通性書類等貿易金融EDI化に関する各業界からの評価

 

1. 商社等荷主業界からの評価

 

貿易取引をどう捉え、評価するについて、商社等荷主企業としては、個別企業によって温度差があるだけでなく、企業内においても議論が別れるかもしれない。以下は執筆者の個人的意見であり、業界としてのまとまった意見ではないことをお断りしておきたい。

 

1 サプライチェーン

近年、物流が注目を浴びている。「物流は宝の山である」等と言われている。従来、メーカーならば本業である生産の最適化には熱心でも、物流にはそれほどの関心を払っていなかった。物流は日の当たらない分野であり、物流関係者の社内での発言力も弱かった。

ところが、さまざまな事情から物流に目が向けられるようになってきた関係で、物流担当者も、従来のいわゆる「倉庫番」的な、受け身の姿勢を脱却し、積極的な、提言型の行動が期待される様になってきたのである。その背景として、以下のようなことが考えられる。

(1) グローバルな競争が激化し、いっそうのコスト競争力が求められている。

(2) 生産、販売、その他の段階では合理化が徹底した結果、節約余地が小さい。

(3) 顧客ニーズの多様化に伴い、多品種小ロット、多頻度デリバリー等が要求される結果、放っておけば物流費は増大する一方である。

(4) 物流の制約条件が、生産、販売等のあり方を逆に規定するようになってきた。

生産を考えてみよう。今日では、工場の都合だけで生産が計画されることはあり得ないと言っても過言ではないようである。すなわち、特に消費財においては最終消費者の動向を出来る限りリアルタイムに把握し、生産計画が作られる傾向が顕著である。

生産計画には、原材料、部品(部材)の調達計画と生産計画(段取り計画)がある。工場が在庫を多く持つ事はコスト増に直結するから、在庫量を極小化しようとする。ある製

 

 

 

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