4) テレデシック
テレデシックは、マイクロソフト位のCEO(最高経営責任者)であるビル・ゲイツ氏が「Internet In The Sky」と言う提唱をもとに、米国の携帯電話会社マッコウ・セルラーの会長グレイ・マッコー氏と1990年に設立した会社である。同社の計画は、700kmの低軌道上に840機の衛星を投入するというもので、アップリンク(上り)16Kbps〜2Mbps、ダウンリンク(下り)28Mbpsの高速インターネットアクセス環境を実現しようとするものである。全世界の家庭や企業向けに高速のインターネットアクセスを提供するほかに、企業間を結ぶ高速ネットワークとしても活用できる。テレデシックは、イリジウムなどのモバイル向け通信サービスとは異なり、固定アンテナの設置を前提にした双方向のサービスになる。衛星の軌道が近距離であるので、距離による伝送遅延を抑えられるため、従来の衛星通信では会話の際の「間」が気になったビデオ会議などもより円滑に利用できるといった特徴もある。
また、当初の840機という大規模な計画は、その実現が危ぶまれたが、1997年にボーイング社の1億ドルの資本と、288機への規模の縮小などにより2002年への実現の可能性が高まってきている。
5) スカイブリッジ
スカイブリッジは、フランスの通信機器メーカであるアルカテル社が中心となって進めている衛星インターネット計画である。日本からはシャープが参加している。
スカイブリッジでは、64機の低軌道周回衛星と、200の地上局でネットワークを構築する。デレデシックとの大きな違いは、衛星間での通信は行わず、各衛星は近くの地上局(日本国内にも4つの地上局の設置が計画されている)を通じて地上系のネットワークに結ばれるという点である。空のネットワークというより、低軌道衛星によって広帯域アクセスエリアの増大を狙ったシステムである。デレデシックが全地球規模であるのに対し、スカイブリッジは郊外部を中心としたサービスを目指している。
通信速度は、通常の端末でアップリンク2Mbps、ダウンリンク60Mbpsを目指している。
サービス開始予定は、2001年の後半である。
6) イリジウム、ICO、グローバルスターに関する課題
イリジウム、ICO、グローバルスターに関する課題は、地上系携帯電話よりさらに高い通話料金や、インマルサットよりも安くなったとは言えまだまだ高価な端末価格である。