4. 各輸送モードのまとめ
(1) 長江輸送
長江輸送は、水位や流量の安定維持が難しいため
1] 航行可能な本船タイプの制限がある。
2] 一定の航行条件が維持できない。
3] 上流部分においては非効率な荷役方式をとらざるを得ない。
4] 霧の多発等の航行には不適な気象条件。
といった特性があり、定時性や迅速性が確保される状態にあるとは言い難く、特に上流部ほど輸送の阻害要素が大きい。そのため、迅速性や定時性が要求される貨物は使用しにくい輸送モードといえる。しかし、コスト競争力は鉄道、自動車に比較して強いことも確かであり、品目によっては利便性があるといえる。
(2) 鉄道輸送
従来は、遠距離輸送において自動車輸送のレベルが低かったため、鉄道輸送の担う役割は大きかった。
しかし、鉄道輸送は石炭や食料品等の計画経済下で国家が定めた重要品目の輸送が第一義であったため、商業貨物へのスペース提供能力が不十分であり、またサービスの品質にも問題が多かった。
特に大きな問題点として
1] ブッキングがとれない (1月前のブッキングが必要)。
2] ジャストインタイムに必要な確定的発送が不可能。
3] トレースができない。
4] 空コンテナが内陸より戻らない。
といったことが指摘されていた。
にもかかわらず、武漢、重慶の日系メーカーの多くは香港経由の鉄道を多く利用してきた。
その理由として
1] ブッキングが中国本土の港湾に比較して取り易いこと。
2] 列車の頻度が比較的多いこと。
3] 通関手続き等のトラブルが少ないこと。
があげられ、資本主義的考え方が中国本土より浸透していた香港から、中国内陸輸送をコントロールしようとしてきた。