(2) 運輸企業の充実
中国における自動車輸送は、開放経済が進展する以前は
1] 国営運輸企業による自動車輸送
2] 企業、機関単位の自家用自動車輸送(日本でいう白ナンバー)
3] 個人営業車両による自動車輸送(日本でいう緑ナンバー)
と分類することができ、特に2]が盛んであったことが特徴である。
これは共産主義生産体制化下で「自給自足」が原則であったため、自社貨物は自家輸送することが多かったためである。したがって貨物は欲しい方が取りに行く」といったレベルで行われることが多く、いわゆる「業」としての自動車輸送は未成熟であった。そのため自動車輸送に付加価値を求める顧客側ニーズに応じられる企業が少なかった。
しかし、開放経済の進展とともに、「他人の需要に応じて輸送を行う「業」としての輸送業者の出現が始まり、80年度中頃から90年代中頃にかけては地方の「郷鎮企業」等による運輸企業の設立ラッシュがみられた。
しかし、90年代中頃以降、「競争」の激化や資本主義的マインドの広がり等により、自動車輸送においても企業数や規模の面での拡大傾向は落ち着きを見せ、逆に「淘汰」の時代に入っている。現在では多角化や合併等の手段により、配送、倉庫といった業務を顧客に提供しつつ不得意分野はアウトソーシングするといった、日本と同様の動きも起こりつつある。このように、ソフト面を始めとしたサービスの充実により競争力を増加させようとする動きが活発である。特に近年、経済の発展した沿海部では高品質をセールスポイントにする事業者が増加し、日本の「宅配便」に相当する小口輸送サービス等も発展しつつある。
また、日系運輸企業も国内主要都市間の輸送ネットワークの構築に努めており、既存ネットワークの拠点から、さらなる内陸部へネットワークを伸ばそうと努力しているところも少なくない。
内陸部の自動車輸送業者は、その「サービス」においては沿海部の企業ほどのレベルにないのが一般的評価であろうが、先進的企業においては「サービス」の重要性は認識し始められており、沿海部の運輸企業と同様のマインドを持った企業が増えつつある。