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2] 五定列車に乗らない場合の鉄道輸送

五定列車は定められたダイヤで運行を行おうとするものであり、従来の鉄道利用者の不満を解決する可能性のあるものとして大きく期待される。しかし、数量がまとまらない場合は運行されないといった規定は従来の鉄道輸送の通りである。その場合は貨物を発駅から編成駅に発送し、編成駅(例えば鄭州、上海、成都等)でその規定量に達するまで発車されない。

したがって、発駅において最低数量が確保できれば問題はないが、そうでない場合は、各地域の「編成駅」が大きな役割を持つ。この編成駅が1つのハブとなり「ハブ・アンド・スポーク」システムにより、列車の仕立てが行われる。

そのため、経由地等が入り組む可能性があり、「ダイヤ」にのっとった輸送は確保できない。

 

(3) 空コンテナ

中国の鉄道輸送において、空コンテナの回収が迅速に処理されずデマレージが発生するという問題は、定時輸送ができない、あるいはブッキングが難しいといった問題と同様に、利用者(特に複合輸送業者)にとって大きな問題であった。

また空コンテナの回収料金についても、内陸へのコンテナ輸送料金に含まれているはずであるのに対し、返送時にチャージが徴収されているといった不満も多い。

これらの問題に対する完壁な対処方法は現在のところ講じられていないが、鉄道部側も空コンテナの問題を認識していないわけではなく、海上コンテナは着駅到着以降15日以内に返送することを規定している。

しかし、船会社が設定したフリータイム自体は10日間が一般的であり、中国内陸部までの往復輸送時間を考慮すると、そもそもが短すぎるといわざるを得ない。

その他コンテナの回収を遅らせている原因として次のようなものがあげられる。

1] 通関の問題

特に内陸の場合、港湾等の入境地で輸入通関を行い内貨として引き取る場合に比較して、内陸地まで保税転送を行い輸入通関する場合は、輸入許可取得までの時間を要するため、結果的にコンテナ返送までの時間が長くかかることが多い。

2] 着側でコンテナを開けない

一般的に中国の場合、海上コンテナをデバンニングせず、コンテナの状態のまま倉庫代わりに使用する荷主が多くみられる。そのため、コンテナが長期間開けられないケースが多い。

といった要因が考えられる。

このようにコンテナ回収の遅延は、 100%鉄道側の原因に帰することはできない。コンテナ返送手配は着地側のフォワーダーにより行われるので、以上のような諸点に配慮しつつ、いかに信頼できる業者を起用できるかが大きな改善ポイントとなろう。

 

 

 

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