また、内陸と沿海という地域差で、五定列車の維持についての「熱意」に差があるように思われる。現地調査では上海においては「貨物が不足していても、なんとか五定列車を走らせる」というスタンスであるのに対し、重慶、成都では「貨物がなければ運休もありうる」といったスタンスが上海より強かった。これは上海が重慶、成都に比較して貨物量が多く仕立ての苦労が少ないこともあろうが、市場主義的な考え方になじみの深いことから、顧客に対する定時輸送サービスの重要性を十分に認識しているためと考えられる。
上海の場合、五定列車サービスの供用開始以降、大企業の定期的予約によりベースカーゴが確保できており、それに加えて、それぞれの駅や服務公司が個々にブッキングを受けている。
大部分の路線では、ブッキングはさほどタイトでないと考えられる。
その理由として
1] 輸送能力の向上
中国の鉄道は近年の様々な改革により、輸送能力は増強されている。
2] 景気動向
特に97年のアジア通貨危機以降、景気動向には若干の鈍化がみえており貨物量が落ち着いていること。
3] 調達ルートがあること
駅や公司として5車両分の枠を持っており、その枠に対する営業活動を行っている。スペースがタイトなもの、余ったもの同志での相互融通が可能となっている。
等があげられる。