その他にも、下流の問題点として橋梁の問題を指摘できる。
5] 橋梁のクリアランス問題
南京大橋のクリアランスが最大の問題であり、24mの高さを超えない本船(4,000トンレベルの本船に相当)しか航行できない。特に増水期にはクリアランスの問題は深刻な状況となる。
元来、中国の南北物流は長江により分断され、南北の物流を図るためには、橋梁建設の必要性があった。近年では京九鉄道や武漢大橋の架橋があったが、南京大橋より橋げたが高くなっているものの、クリランスのリスクがゼロとなったわけではない。
現状では南北物流を盛んにするため、長江への架橋が盛んになされる傾向にあるが、架橋が進み南北物流が盛んになればなるほど、東西物流の長江の利便性が落ちるというトレードオフ(二律背反)のジレンマに悩まされている。
このような水深、高さ制限により、増水期には高水位によるクリアランスの制約が、渇水期には低水位のため、喫水の浅い船舶しか航行不可能という制約が存在し、大型船が常時航行することは難しい。
また、水路の安全確保の面からも標識等未整備な状況にあり、また沈船が除去されていないといった問題等も存在している。