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国際大陸科学掘削計画(ICDP)

 

ロルフ・エマーマン

GeoForschungsZentrum、ドイツ、ポツダム市

 

地球科学研究の幅広い側面から、近代地球科学研究の肝要部としての科学掘削の必要性が叫ばれている。地球科学の国際コミュニティーは、掘削を通してのみ活発な作用に関するデータを取得でき、そして遠隔探査による地質学的、地球物理学的な実地研究、実験室計測、そして理論モデルを基に、仮説の試験と検証を直接行える能力を備えることができる。

 

こうした一般的な考察により、国際大陸科学掘削計画ICDPの使命が定義される:“科学掘削の特別な能力により地球地殻の成分、構造、作用に関する確かで根本的でそして地球規模で意義のある知識が得られる。”特に焦点があてられる研究課題としては:

・地震と火山噴火を起こす物理的、化学的な作用とこれらの効果を和らげる最適な方法。

・最近の気候変動のしくみと原因。

・気候と大量絶滅に対するメジャーインパクトの作用。

・深部生物圏の特性と炭化水素熟成、鉱床、生命の進化など地質作用との関係。

・放射性物質や汚染物質をいかに安全に処分するか。

・堆積盆地や炭化水素資源がどのように生成され進化したか。

・鉱床が多様な地質条件でどのように生成されるか。

・プレートテクトニクスの物理原理と地球地殻を通る熱、物質そして流体の移動。

 

過去2年間に渡って機能してきたICDPの中で世界規模の協力体制が組織されつつある。この間、野心的な科学目標を掲げた総計50のプロジェクトが提案されている。その内の約半分は予算が認められ、研究プログラム全体と技術開発計画の支援が行われている。さらに、完全に展開が始まったプロジェクトは、掘削作業に向け資金援助をすでに受けている。

 

研究テーマは非常に広い範囲の科学的謎に挑戦するもので、バイカル湖プロジェクトの様な湖システムの気候や環境に関連した調査から、ハワイマントルプリュームの発生と進化、さらにサンアンドレス断層地帯の様な活発な地震地帯の現況観測等を含んでいる。昨年は東カリフォルニアのロングヴァレーレストレスカルデラが探査され、マグマ活動の理解とその地域に於ける地震や火山の危険をよりよく評価する助けとなった。

 

こうしたプロジェクトはICDPのものであり、ICDPから多くの資金援助を受けているが、東地中海の最近の地殻変動、東中央中国の超高圧(UHP)変成帯、日本の雲仙火山の掘削、そして大湖での掘削を可能にする方法や装置の開発のようなトピックに関する他のプロジェクト提案も、ICDPが後援するワークショップや会議を通じて支援を受けている。近々開催されるワークショップは1999年3月に予定されている“メキシコのチクスラブインパクト構造体への掘削”に関するものである。

 

現行のICDP活動やプロジェクトそして助成方針に関する詳細が発表される。

 

 

 

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